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【実話シリーズ】不動産のプロが賃貸トラブルで悪質オーナーと対決①

不動産トラブル被害者

不動産トラブルって、実際に起きたらどうなるの!
『解決方法はあるの?』
『トラブル時はパニックになるから実例で勉強しておきたい』

不動産トラブル被害者

お店が経営できなかったら営業補償は誰が払ってくるの!
『弁護士の選び方と費用相場も知りたい』
『悪質オーナー・管理会社の場合の戦い方を教えて!』

りょうま

不動産トラブルは、被害状況によって、相談相手・損害賠償金・弁護士に依頼すべきかが、変わってきます

不動産のプロが賃貸トラブルで悪質オーナーと対峙する実話を見ながら、解決方法やポイントを勉強しましょう

僕のプロフィールも見てね!

記事の信頼性

・不動産業界経験20年以上、3回の転職で年収5倍UP(300万円→1600万円)
・小さな賃貸から大手不動産会社まで勤務して業界全体の実情に精通
・資格(宅建、不動産証券化マスターなど)、 不動産セミナー講演経験あり!
・1万戸の賃貸マンション、数十棟のオフィスビル等、多数の運用物件で不動産トラブルと対峙。損害賠償金2億円を争い裁判勝訴、家賃滞納・強制執行の現場多数、その他様々なレアケースを体験

この記事で解決できること(ベネフィット)

・賃貸生活・店舗経営のトラブル時の解決方法を勉強できる
・不動産のプロの解決方法の導き出し方が分かる(←これ大切
・トラブルの時に取るべき行動が分かる
・悪質オーナーの場合の戦い方が分かる
・弁護士依頼の判断ポイントが分かる

【注記】以下記載の解決方法や意見は、独自の見解であり、個別事案の状況によってベストな解決方法は異なります。本件は実話ですが必要に応じ適宜修正してます。その点を十分理解した上でお読みください。

目次

「前提」と「結論」

前提
内容ネイルサロン店内の漏水事故
場所新橋の店舗ビル2Fネイルサロン(アロマの香りで高級感あり)
原因3F床下の配管破損が原因で、2Fネイルサロン店内に滝のように水が流れ落ち、その後も度々漏水
状況店内の設備・機器は破損。異臭を放ちリピーター客が減少し、売上は急減
被害者ベトナム国籍の外国人経営者(日本語は話せるが、ビジネス言葉と日本語の契約書は苦手
加害者責任はオーナー・管理会社にあり
オーナー中国人で性格がキツい。被害者への迷惑は気にせず、自分の損得だけを考えるタイプ
管理会社管理会社としては大きい企業だがコンプライアンス意識は低く、問題は現場任せ
担当者X特に担当者Xの態度は高圧的で悪質。不動産トラブル解決の能力は低い
先に結論(まとめ)

賃貸人は時間の経過と共に損害(cf.賃借人の売上減少)が拡大することを意識していない。出来るだけ早く賃貸人に状況を説明して、当事者同士で話し合うことが最も大切(特に、漏水事故等で営業補償が絡む場合)

・オーナー・管理会社は強い立場、被害者(賃借人)は弱い立場。解決のためには強いサポートが必要

・解決には不動産経験・法律等の知識が必要。アドバイザーがいてもスキル不足は逆に事態を悪化させるため注意

・相手が悪質な場合は、話し合いで決着しない。この場合、最も厳しい損害賠償請求書を送る(最大金額記載)

・弁護士に頼むと多額の費用が必要なため、まずは弁護士をたてずに、賃貸人に請求するのも一つの手段

・「費用倒れ」(※)を考慮して弁護士依頼を決定(経済的利益が小さい場合、弁護士依頼で逆に損する可能性あり)

・最後は弁護士に依頼。双方弁護士に依頼した場合は着地点を見出して解決に向かう

スマホや防犯カメラでの被害状況の録音・録画が大切(後の証拠資料、第三者サポート依頼時もメリット)

・賃貸借契約書を確認し手元に用意。物損被害がある時は領収書、営業補償請求する場合は売上帳簿を整理

(※)「費用倒れ」
例えば、相手方から当初50万円で提示されていて、弁護士依頼で100万円まで増額したとします。一見して50万円の増額ですが、弁護士報酬で70万円請求されたら、手元に残る金額は30万円です。このように、弁護士費用を支払うことで最終的に受け取れる額がかえってマイナスになる事態を「費用倒れ」と呼びます。
また、今回のような漏水事故の場合、相場はないため、相手から全て拒絶された場合は、損害賠償金がゼロとなり、マイナス70万円の費用倒れになります。

【STEP1】 被害者との出会い

数年前に、ベトナム旅行で知り合った現地ガイドさん(ベトナム人)がとても良くしてくれたので、それ以降メールでやり取りしていましたが、突然、『東京でネイルサロンを経営してる友達を助けてくれないか?』という連絡が入ってきました。

『もちろん、了解!』なんて答えちゃったけど、内心では「トラブル内容が難しい場合どうする?」「ネイルサロンってことは多分、駅前の店舗ビルとかで僕の得意な不動産分野のトラブルだから何とかサポートできそうかな」「いや、待てよ……!たまたま僕は不動産屋だけど、違ってたらどうなってたんだこの話し??」などと、様々なことをその晩に考えましたが、次の休暇の日に、新橋でネイルサロン経営をするベトナム人の方に会いに行くことにしました。

ホア(ベトナム人経営者)

ネイルサロンを経営してるホアです。

1年6ヶ月前の話しになります。
急に、ネイルサロン店の天井で漏水事故が起きて、水がたくさん溢れ落ちて来て、すぐに管理会社に連絡して相談しました。

ですが、オーナー・管理会社は、何も対応してくれないどころか、「入居直後に起きた漏水事故なんて、タイミングで考えても、テナント側の責任で間違いないから、入居時にテナント側で実施した工事が原因です。ホアさんとお店は、ビル側に与えた損害を賠償する必要があります」と、調査もせずに、私と店側の責任だと追及されました。

ホア(ベトナム人経営者)

その後、私の責任を追及するために、オーナー側で現地調査した結果、お店の入居工事で設置した配管が原因ではなく、その隣にあったビル側の配管が何かの要因で破損して、そこから漏水していたことが原因でした。

結局、原因は、私の店ではなくオーナー側なのに、謝ってくれないどころか、漏水修繕工事は1年半も実施してくれないし、度々天井から水が店内に落ちてくるので、その匂いでリピーター客が減って、毎月多額の損害が出てしまっています。

りょうま

なるほどー、酷いなー。
まだ、少ししか聞いてないけど、悪質オーナー・無能管理会社の匂いがプンプンします。
で、ホアさんは、その後、どう対応したんですか?

ホア(ベトナム人経営者)

普通だったら、賃貸物件のことなら、管理会社やオーナーに相談するけど、今回はその人達が、交渉相手になっちゃってるから困っちゃって。

不動産屋の友達に話してみたら、「売買仲介担当だから全く分からない」って断らてちゃって。

次に、近くの不動産会社に相談に行ったら、「難しそうで力になれなさそう、大変だね。」って世間話しで終わっちゃって。結局は、お金にならなそうだし、ダメみたい。

仕方ないから、弁護士の無料相談に行きました。そしたら、、
「手付金で10~30万円、今回のケースでいえば弁護士相談料と報酬金でざっと合計数十万~100万円程度、長期化したり、裁判になったら、もっと必要です。」
と言われて、帰って来ました。

りょうま

なるほどー。それで、どうされたんですか!

ホア(ベトナム人経営者)

オーナー・管理会社は、お金を払う態度は全く見えないし仮に、損害賠償金100万円を受取れても、弁護士費用が100万円なら、、、結局、やるだけ損?と思って、家族と話した結果、諦めるしかないのかなって考えてました。もう最悪な気分です。

その話しをベトナムのガイドさんに話したら、「りょうまさんに一度話してみたら?」って言ってたんですけど、りょうまさんは不動産屋さんでもないですし、きっと無理ですよね?
お呼びたてしておいて、こんな言い方になっちゃって、ごめんなさい。

りょうま

まず、漏水を止める必要があります。
状況によっては、オーナーに損害賠償請求が必要です。

ホアさんのネイルサロンは「何の落ち度もないのに」、オーナー・管理会社の原因により、一方的に損失を被り、毎月多額の損害が発生しています。これを逸失利益(※)といって、これまでの損害を計算すると100万円は超えてるはずです。

(※)「逸失利益」
漏水事故で経営できない、もしくは、お店にお客が来ないため売上が立たない場合に請求できる失った利益相当分を逸失利益といいます。これは状況によってオーナーに請求できます。

ホア(ベトナム人経営者)

はい。他の店内で濡れた機器の物損とか含めると、金額はもっとですね・・・

りょうま

相手を訴えるのは法律の知識が必要です。
また、配管破損など技術的問題点の検証が必要だから、建築の知識も必要です。

何よりも、弁護士への依頼無し・裁判無しで、悪質なオーナー・管理会社を訴えて、100万円を超える多額の損害賠償金を支払わせるのは至難の技です。

ホア(ベトナム人経営者)

やっぱり、弁護士さんじゃないと無理かな?

りょうま

たまたまですが、僕は不動産屋です。
法律・建築の知識も持ってます。

不動産会社勤務の頃、大手法律事務所と一緒に仕事してました。プライベートでは、自分で売買契約書と設計図面を書いて、アパートを建てたこともあるので、少しは役に立てるかな。

弱いものイジメしてる悪質不動産会社って、許せないです!

ホア(ベトナム人経営者)

あのー、良かったらぜひ力をお借りしたいのですが・・・料金は?

りょうま

無料で、大丈夫です。
友達のサポートなので、いらないです。

という、まさかの展開で、この依頼を受けることにしました。
その後、ホアさんから詳しい被害状況を聞きましたが、想像を超える展開が僕を待っていました。

これまで、「不動産転職相談」や「引越し相談」は多かったのですが、プライベートでこのレベルの漏水事故の相談はあまり無く、解決に時間もかかるので、僕もさすがに迷いました。

ですが、ホアさんが真剣に救いを求めていたこと、悪質オーナー・管理会社が許せなかったこと、この2点で引き受けました。たまたま、FIREして時間があったのが幸いでした。

【STEP2】 被害状況ヒアリングと現地調査

被害状況ヒアリングのやり方

不動産トラブルにおける被害状況ヒアリングのポイントは、4つです。

①本当の原因は何か、真実を突き止めること
被害者の感情を抜きに、オーナー・管理会社が本当に悪いのかを慎重に検証すること
③被害者本人以外の関係者(スタッフなど)にもヒアリングすること(必要に応じて)
必ず、現場調査すること

Ryoma’s EYE(トラブル解決のポイント)

被害者は感情的になっているため、そのまま、話しをきくと、当然、「オーナー・管理会社が悪い」ということを主張してきます。

ですが、被害者の話しを鵜吞みにして、オーナー側と争ってしまうと、もしも、被害者が感情のままに説明してくれた話しと事実が違った場合は、オーナー側は反論し、被害者(入居者)のことをよく思わないばかりか、結果として、何も請求できないうえに、オーナーとの信頼関係が傷つき退店するハメになる可能性があります。

結局は、被害者のためにならなくなることがあるため、慎重にヒアリングしていきます。

真実は一つしかありません。それをヒアリングで分析・検証して突き止めます。

そのうえで、本当にオーナーが被害者に損害を与えていたら、加えて、悪質にテナントに加害しているような場合は、日本国内から悪質不動産会社はいなくなった方がよいので、それに見合った罪を償ってもらうことになります。

被害者本人だけでなく、出来るだけそこで働くスタッフにも状況を確認し、被害者の説明の裏取りをします。
なぜなら、今後、被害者の損害額が大きく、オーナーの態度も悪質な場合は、オーナーと壮絶に争うことになります。それだけの自信(裏付け)が無くては損害賠償請求書は書けないからです。また、後日、裁判になる場合は根拠が必要だからです。

【STEP3】 内装工事実施報告書チェックと現地調査

Ryoma’s EYE(トラブル解決のポイント)

被害者ヒアリングと同時に、被害状況の確認のために必ず現地確認をします。
不動産は、何よりも現場が命です。
不動産は、買うときも、不動産トラブルのときも一緒です。とにかく、現場に答えがあります。

【STEP4】 漏水事故トラブル問題の整理

■メモ(不動産トラブルの原因と損害賠償金負担者の関係)

不動産には様々な問題が発生しますが、漏水トラブルというのはより技術的な話しでもあります。
契約書にどう書いてあったかという書面の問題だけではないということです。

漏水事故の場合は、一番難しい点は、その原因は何か?数百万円の漏水修繕工事の負担者は誰か!という点です。

原因者が負担するのが原則です。

テナント側に問題がある場合はテナントが負担します。オーナー側に問題がある場合はオーナーが負担します。
現地調査の結果によっては、当然ながら真逆の結論になることがあるため現地調査はとても重要です

特に、今回のケースのように、美容サロンや飲食店などは、ビル入居時に手の込んだ内装・設備工事をすることが多く、その工事が問題で漏水事故が発生することも多いです。この場合の損害はテナントが負担することになります。

■意外と多い「勘違い!?」

当初予想と違い、現地調査の結果、原因負担者が変わることも不動産現場ではよくあります。

今回のケースのように、オーナーがテナントの責任にして(意図的か勘違いのケースも)、テナントが気付かずにそのまま支払ってしまうケースもあります。僕もこれまで何度か経験しました。

その場合、ちゃんとした会社なら自らテナントに謝りに行って全額返金します。自己発見はまだ救いがありますが、他社指摘で発覚すると自浄作用が無いと糾弾されるからです。
一方、悪質不動産会社の場合は、「誰にもバレなくて良かった」と闇に葬ることになります。

続いて、下記リンクから『STEP5』をご覧ください!

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